④転がり軸受ガイド方式とすべりガイド方式の違い

工作機械講座

NC旋盤の摺動面機構には、すべりガイド方式と転がり軸受ガイド方式があります。すべりガイドは、送り台が台座の上に接している構造で、加工時には送り台をすべらせるように移動させて使用します。転がり軸受ガイドは、送り台と台座の間のレールがあり、加工時にはレールの上をボールが転がることで移動させる仕組みです。

 

 

すべりガイド方式は、面で接触するため耐荷重や剛性が高いのが特徴です。加工面も滑らかで、優れた面粗度を実現することができます。また、頑強な作りであるため非常に長持ちで、弊社の場合は40年以上使って頂いているお客様も多く、長期的に見るとコストパフォーマンスが高くなります。一方で、面接触による抵抗が大きいため、一般的に応答性や位置決め精度が低いと言われます。ただし、弊社の製品では、抵抗を低く抑えるために職人が“キサゲ加工”という特殊な仕上げをしているため、高い剛性と高い位置決め精度の両方を実現しています。

転がり軸受ガイド方式は、ボールによる接触で摩擦の抵抗が少ないため潤滑油が少なく済み、応答性や動作性が高いので位置決め精度に優位性があります。一方で、接触面積が少ないため耐荷重や剛性に劣り、衝撃に弱く持ちも悪いことがデメリットです。5年程度で転がり軸受ガイドユニットの交換が必要になるケースもしばしば見られます。